ワンちゃんの血尿の原因は?

ソファーの上で気持ち良さそうに寝ている犬

 

ワンちゃんのおしっこに血が!血尿が出ると、飼い主さんは「何か悪い病気?」と心配になりますよね。ただ、ワンちゃんの血尿は見た目で判断できる場合と、そうでない場合があります。また、血尿といってもその原因や症状はさまざまです。

 

 

血尿は病気の前触れでもあるので、ワンちゃんの行動を注意深く観察してください。血尿以外の症状を見逃さないことで、病気の早期発見・早期治療にもつながります。ここでは、性別・年齢による血尿の原因や対処方法などを分かりやすくまとめてみました。

 

@ストレス

ストレスで靴を噛む犬

 

ワンちゃんも人と同じで、ストレスを抱え込むと血尿が出る場合があります。また、極度の興奮・発情などでも血尿が出やすくなるといわれています。

 

チェックマークストレスが溜まっているときの主な症状

●血尿
●手の先を脱毛するほどに舐める
●全身を舐めまわす
●食欲低下
●胃炎
●毛が抜ける(脱毛)
●てんかん発作

 

A中毒

ネギ

 

ワンちゃんは人が食べているものに興味を持ちますが、中にはワンちゃんにとって害となる食べ物があります。

 

 

例えば、ネギやタマネギなどのネギ類を食べると「溶結性貧血」を引き起こし、壊れた赤血球の成分(血色素)がおしっこに混ざるため血尿が出ます。ネギ中毒を起こした場合には、1〜2日以内に必ず血尿が出るので誤ってネギ類を食べた場合には、必ずチェックしてください。

 

チェックマーク中毒になったときの主な症状

●血尿
●ぐったりしている
●散歩・運動を嫌がる
●食欲低下
●口の粘膜が白っぽくなる
●呼吸が荒くなる
●黄疸

 

また、溶結性貧血は自己免疫性が原因で起こる病気で、好発犬種も確認されています。

 

●アメリカンコッカースパニエル
●プードル
●ダックスフンド
●ビーグル
●チワワ
●パグ

 

B膀胱炎

マットの上に乗って見上げる犬

 

ワンちゃんの血尿でもっとも多く見られるのが膀胱炎によるものです。膀胱炎とは、細菌が尿道から侵入して炎症を起こした状態です。メスの方が尿道が短いため、オスよりも発症率が高くなります。水分不足などでおしっこの回数が減ると感染しやすくなるので、ワンちゃんにはしっかりと水分補給を行い、おしっこの回数を増やすことで膀胱炎の予防はできます。

 

 

また、膀胱炎は再発率が高いので、原因となる細菌や基礎疾患がないかを調べて治療することが大切です。

 

チェックマーク膀胱炎の主な症状

●血尿
●頻尿
●おしっこの1回の量が減り回数が増える
●おしっこの色が濃い
●おしっこが濁っている
●おしっこの臭いがきつい
●ぐったりしている
●発熱
●陰部から分泌物が出て舐める(メス)

 

また、膀胱炎の好発条件は次の通りです。

 

●水分不足
●寒さ(排尿回数が減る)
●ストレス
●結石
●糖尿病

 

C尿路結石

犬の膀胱のレントゲン写真

 

尿路結石とは、膀胱・尿管・尿道などに結石ができる病気です。細菌感染した膀胱炎のあとに発症することが多く、尿路結石も膀胱炎と同じくメスに多く見られますが、尿道が短い分、結石が小さければおしっこと一緒に排出されます。

 

 

また、結石が尿道内で詰まると排出時に痛みを伴い、ワンちゃんがおしっこをするときに「キャンッ」と鳴くことがあります。これは「尿道閉塞(尿閉)」で、尿道が細くて長いオスに多く見られる症状です。結石が完全に尿道を塞いでしまうと、おしっこをすることができなくなってしまいます。

 

チェックマーク尿路結石の主な症状

●血尿
●頻尿
●おしっこが濁っている
●おしっこの臭いがきつい
●ぐったりしている
●喉の渇き(異常に水を欲しがる)
●嘔吐
●発熱

 

また、尿路結石の好発犬種は次の通りです。

 

●ダルメシアン
●ミニチュアシュナウザー
●ヨークシャーテリア
●ダックスフンド
●チワワ

 

D前立腺肥大

おしっこをする雄犬

 

前立腺肥大とは、オスにある前立腺が大きくなる病気です。ワンちゃんの前立腺肥大は人と同じで、加齢によって発症率が上がりますが、その原因はハッキリと分かってはいません。日常生活に支障がない場合は、前立腺が大きくなっただけという意味で「良性前立腺過形成」と呼ばれることもあります。

 

 

前立腺肥大が原因で血尿が出るケースは少ないといわれていますが、中には血尿が出る子もいるので原因の一つとして挙げています。

 

チェックマーク前立腺肥大の主な症状

●血尿(稀に)
●頻尿
●おしっこの1回の量が減り回数が増える
●便秘

 

また、前立腺肥大の好発条件は次の通りです。

 

●加齢
●去勢手術をしていない5歳以上のオス

 

 

E前立腺炎

犬の前立腺の図

 

前立腺炎とは、オスにある前立腺に炎症が引き起こる病気です。前立腺炎になると、うまくおしっこができなくなり、強い痛みを伴います。急性・慢性とあり、急性前立腺炎の場合は前立腺肥大が基礎疾患で、前立腺膿瘍になりやすいのが特徴です。

 

 

それに対し慢性前立腺炎は症状が分かりにくく、前立腺膿瘍になることもありません。去勢手術を行うことで前立腺炎・前立腺肥大・前立腺がんの予防をすることができます。

 

チェックマーク急性前立腺炎の主な症状

●血尿
●おしっこの臭いがきつい
●おしっこをするときに痛みがある
●何度もおしっこをしようとする(痛くて出せない)
●ぐったりしている
●嘔吐
●発熱

 

F前立腺膿瘍

伏せをして元気がない犬

 

前立腺肥大が基礎疾患で前立腺炎となり、その炎症後に前立腺に膿が溜まってしまう病気が前立腺膿瘍です。通常であればおしっこをするときに膿も一緒に排出されますが、うまく排出されずに前立腺内に膿がどんどん溜まってしまう状態になります。放っておくと前立腺内に溜まりすぎた膿が破裂し、膿で汚染された血液が全身を巡って危険な状態に陥ってしまうケースもあります。

 

チェックマーク前立腺膿瘍の主な症状

●血尿
●おしっこの色が濃い
●おしっこが濁っている
●おしっこの臭いがきつい
●何度もおしっこをしようとする(痛くて出せない)
●ぐったりしている
●食欲低下
●発熱

 

G血小板減少症

血小板のイメージ図

 

血小板減少症とは、血液中に存在する血を固める作用の血小板が減ってしまった状態です。血小板は血管が損傷したときに、その傷口を塞いで止血する役割を担っていますが、血小板減少症になると出血が止まらなくなるので、ワンちゃんの異変にも気付きやすい病気です。体内でも出血しているので血尿以外にも出血の症状が見られます。

 

チェックマーク血小板減少症の主な症状

●血尿
●血便
●鼻血
●口・皮膚から点状の出血
●傷口からの出血が止まらない

 

また、血小板減少症の好発条件・犬種は次の通りです。

 

●感染症(パルボウイルス・ジステンパー・フィラリア症など)
●腫瘍(血管肉腫・白血病など)
●プードル・オールドイングリッシュプードル
●メス犬

 

H門脈対循環シャント

氷のうを頭に乗せた犬

 

門脈対循環シャントとは、本来であれば肝臓に入るべき胃腸からの血液がシャントと呼ばれる異常な血液を経由し、解毒されることなく全身を巡ってしまう病気です。

 

 

胃腸からの血液にはアンモニアなど多くの毒素が含まれいるため、有害な物質が体の各所に送られることでさまざまな弊害を起こし、肝臓が栄養失調となって委縮してしまう状態を指します。ほとんどが先天性疾患ですが、慢性肝炎や肝硬変などが原因で異常な血圧上昇が起こると発症する場合もあるようです。

 

チェックマーク門脈対循環シャントの主な症状

●血尿
●頻尿
●おしっこが濁っている
●おしっこの臭いがきつい
●ぐったりしている
●喉の渇き(異常に水を欲しがる)
●発熱

 

また、門脈対循環シャントの好発条件・犬種は次の通りです。

 

●1歳未満
●ヨークシャーテリア・ミニチュアシュナウザー・シーズー・マルチーズ

 

Iフィラリア症

蚊のシルエット

 

寄生虫であるフィラリアを持つ蚊に刺されることで、フィラリアの卵を産み付けられ、心臓に機能障害が起こる病気です。フィラリアはワンちゃんの心臓や肺動脈に寄生し、重度になると心臓の弁に絡まり死亡するケースがあります。

 

 

急性フィラリア症になると急激に元気がなくなり、一晩で死亡してしまうこともありますが、蚊が発生する時期に合わせて予防することで100%防ぐことができます。

 

チェックマーク急性フィラリア症の主な症状

●血尿
●血便
●ぐったりしている
●散歩・運動を嫌がる
●食欲低下
●口の粘膜が白っぽくなる
●呼吸が荒くなる
●黄疸

ワンちゃんの血尿の予防・対策方法とは?

野原でお座りをしている犬

 

病名 予防策 対応方法
ストレス △原因を探って改善 原因を探って改善
中毒 ○危険な食材を把握して管理 直ちに動物病院で受診する
膀胱炎 △水分補給でおしっこの回数を増やす 直ちに動物病院で受診する
尿路結石 ○療養食・ケアフード 直ちに動物病院で受診する
前立腺肥大 △去勢手術が有効 直ちに動物病院で受診する
前立腺炎 △去勢手術が有効 直ちに動物病院で受診する
前立腺膿瘍 △去勢手術が有効 直ちに動物病院で受診する
血小板減少症 △ワクチン接種が有効 直ちに動物病院で受診する
門脈対循環シャント ×先天性疾患のため難しい 直ちに動物病院で受診する
フィラリア症 ○予防薬は100%効果あり 蚊が出る時期(5月〜11月)に受診する

 

ワンちゃんが血尿をした場合の対策方法としては、直ちに動物病院で受診する必要があります。メス犬の生理の場合は血尿との区別が難しいので、判断に迷われる飼い主さんも多いと思います。ワンちゃんの生理は半年に1回の周期で1週間〜10日間ほど続き、茶色っぽいおしっこになります。

 

 

生理か血尿かの判断が難しい場合も、動物病院を受診しておくと安心ですね。また、膀胱炎や尿路結石の場合には、水分補給をしっかりと行い、おしっこの回数を増やすことで予防効果がグンと高まります。

Q:血尿をしているけどワンちゃんが元気な場合は様子を見ても大丈夫?

野原を嬉しそうに走る犬

 

ワンちゃんが血尿をしたあと、普段と変わらない様子で元気なときには「様子を見ていても大丈夫?」と判断に迷う飼い主さんもいらっしゃると思います。ネットで検索をすると「血尿があっても、元気なら少し様子を見ましょう」というものもありますが、直ちに動物病院を受診しましょう

 

 

ワンちゃんの血尿は、何らかの病気のサインでもあります。元気だからといって放置したばっかりに、症状が悪化してしまうケースもあります。尿路結石などは、強い痛みを伴うのでワンちゃんもつらい思いをすることになります。血尿は病気のサインです。早期発見・早期治療に繋げることが、今後のワンちゃんの健康を左右することになるといっても過言ではありません。

Q:膀胱炎になると血尿になるの?

不安な表情で見上げる犬

 

ワンちゃんの血尿には、さまざまな原因があります。一番やってはいけないことは、素人判断です。ワンちゃんが血尿をしたからといって膀胱炎だとは限らないし、予想もしない病気のサインである可能性もあります。血尿が出た場合には、素人判断をせずに直ちに動物病院を受診しましょう。

Q:血尿だけでなく頻尿もある場合に考えられる病気は?

おしっこシートの横で見上げる犬

 

血尿だけでなく、ワンちゃんに頻尿の症状がある場合には、膀胱炎・尿路結石・前立腺肥大・前立腺炎・前立腺膿瘍・門脈対循環シャントなどの病気が考えらます。

 

 

前立腺炎や前立腺膿瘍は、おしっこをするときに痛みがあるため、湾ちゃんは何度もおしっこをしようとする素振りを見せます。「おしっこがしたいけど、痛くてうまくおしっこが出せない」という、とてもつらい状態です。また、尿路結石の痛みも尋常ではないといわれています。「血尿+頻尿」は、痛みがある場合が多いので、早めに動物病院を受診しましょう。

Q:血尿以外に嘔吐もある場合に考えられる病気は?

ぐったりとしている犬の顔のアップ

 

血尿だけでなく、ワンちゃんに嘔吐の症状が見られる場合には、尿路結石・前立腺炎などの病気が考えられます。しかし、血尿は尿路結石が原因で、嘔吐は誤飲による中毒が原因でなど、血尿と嘔吐がそれぞれ別々の原因で引き起こっていることもあるので、素人判断はせずに直ちに動物病院を受診しましょう。

 

もしも、血尿+嘔吐が尿路結石・前立腺炎だけが原因で引き起こっている場合は、かなり悪化していることが予想されます。どちらにしても、早めの受診が必要だということです。

Q:雄犬が血尿になる原因で多いのは何?

あくびをする雄犬

 

ワンちゃんがオスの場合、血尿になる原因で考えられるのは膀胱炎・尿路結石です。一般的に、膀胱炎・尿路結石はもっとも多く見られる血尿を伴う病気とされています。

 

 

去勢手術をしていないワンちゃんの場合は、前立腺肥大・前立腺炎・前立腺膿瘍など、前立腺の病気を発症することが多く見られます。前立腺に関する病気は去勢手術をすることでリスクを下げることはできますが、肥満や骨肉腫になるリスクが高まるデメリットもあります。去勢手術はメリットだけではないので、獣医師に相談をして決断しましょう。

Q:雌犬の血尿と生理の見分け方は?

ハートのクッションを持って横たわる犬

 

項目 血尿 生理
期間 病気が治るまで続く 1週間〜10日
臭い アンモニア臭・膿臭など 分かりにくい
赤〜赤茶色 個体差あり
体の変化 特になし 外陰部の腫れ

 

ワンちゃんがメスの場合「血尿か生理か分からない」と判断を迷われる飼い主さんが多く見られます。生理の場合は、人と同じで血生臭いニオイがしますが、ほとんどの場合がニオイには気付かないようです。

 

 

ワンちゃんの生理は体重や犬種によっても異なりますが、半年に1回の周期で1週間〜10日ほど続きます。避妊手術をしない場合は、生後6ヶ月頃から始まります。おしっこは茶色っぽくなるので「血尿?」と思われる飼い主さんも多いようです。

 

 

生理のときにはワンちゃんの外陰部が腫れるのが特徴です。血尿が出る病気には外陰部が腫れるといった症状が見られることはないので、そこが大きな差だといえますが、意外と外陰部の腫れも分かりにくいかもしれません。また、生理のときには食欲が増したり、おっぱいが大きくなるといった変化も見られます。

 

 

ただ、病気の中には同じような症状が見られるものもあるため、血尿か生理か判断がつかないときには、一度動物病院で診てもらうと安心でしょう。

Q:子犬が血尿をしたときの対処方法は?

伏せをして首をかしげる子犬

 

ワンちゃんが子犬の場合、血尿が出ると「先天性の病気?」などと思いがちですよね。しかし、子犬であっても、食事に偏りがあれば尿路結石はできるし、予防をする前にフィラリアを持つ蚊に刺されればフィラリア症を発症する可能性はあります。基本的に、ワンちゃんが子犬であっても成犬であっても、血尿が出るということは何かしらの病気のサインだと思ってください。

 

 

ストレスなど、病気ではない場合もありますが、血尿が出たときには自宅で様子を見るなどの素人判断はせずに、直ちに病院へ連れて行きましょう。そうすることで血尿の原因が判明し、病気の場合には早期発見・早期治療に繋がります。特に、強い痛みを伴う尿路結石などは、ワンちゃんがつらい思いをするだけなので、早めに動物病院で受診してください。

Q:ワンちゃんが血尿をしたときの治療方法・費用とは?

診察を受ける犬

 

ここでは、ワンちゃんの血尿で診察を受けたときの平均的な治療方法・費用をまとめてみました。

 

病名 治療方法・費用 備考
中毒

診察料 500円〜2,000円
手術代 100,000円〜200,000円
入院費(3〜5日)2,000円〜5,000円
薬・療法食 10,000円〜15,000円
レントゲン 3,000円〜4,000円
血液検査 6,000円〜10,000円
全身麻酔 10,000円〜12,500円
内視鏡 12,000円〜15,000円

誤飲したものや状態によっては開腹手術が必要となり、手術代が高額になります。
膀胱炎

診察代 500円〜2,000円
手術代 9,000円〜150,000円
入院費(3〜5日)2,000円〜5,000円
薬・療法食 15,000円〜20,000円
尿検査 2,000円〜4,000円
全身麻酔 10,000円〜12,500円

完治には2〜3ヶ月掛かるため、薬(抗生物質)が40,000円〜60,000円必要となります。
尿路結石

診察料 500円〜2,000円
手術代 60,000円〜100,000円
入院費(3〜5日)2,000円〜5,000円
レントゲン 3,000円〜4,000円
エコー 4,000円〜6,000円
血液検査 6,000円〜10,000円
全身麻酔 10,000円〜12,500円

手術・入院は必要ない場合は、内服薬での治療になります。その場合は治療費が1日500円程度で済むこともあります。